Archive for 12月, 2009

高山で探鳥

月曜日, 12月 28th, 2009

ハワイ固有種の海鳥ハワイシロハラミズナギドリ。この幻の鳥はハワイ語で「ウアウ」と言います。(カウアイ島のコケエにて)

ハワイ固有種の海鳥ハワイシロハラミズナギドリ。この幻の鳥はハワイ語で「ウアウ」と言います。(カウアイ島のコケエにて)

写真の整理をしていたら、6月のハワイ島バードウッチング旅のものがでてきました。長くなりますが、お正月休みに入っている方、暇つぶしにどうぞ。

泊まる予定のレッドヒルレストハウスまでは12キロの道程。写真の手前にケルンがあります。溶岩大地、特に森林限界上の道標は溶岩の石を重ねたケルンが道標になります。

泊まる予定のレッドヒルレストハウスまでは12キロの道程。写真の手前にケルンがあります。溶岩大地、特に森林限界上の道標は溶岩の石を重ねたケルンが道標になります。

6月にハワイ島のマウナロアに登り、幻の鳥を探しました。いわゆる高山バードウッチングです。マウナロアは4169mという巨大な盾状火山です。ハワイの2番目高い山で、富士山より400mほど高い山です。この火山の3000m標高付近でハワイ固有種の海鳥、ハワイシロハラミズナギドが繁殖していると言われています。

マングースや野良猫がハワイシロハラミズナギドリの外敵です。これらを駆除するための罠を山道の脇に見つけたました。何かが罠に入ると「捕獲」信号が国立公園事務所に送られます。

マングースや野良猫がハワイシロハラミズナギドリの外敵です。これらを駆除するための罠を山道の脇に見つけたました。何かが罠に入ると「捕獲」信号が国立公園事務所に送られます。

ハワイシロハラミズナギドリはハワイ語で「ウアウ」といいます。これはこの鳥の鳴声の一つでもあります。学名はPterodroma sandwichensisです。翼の幅は約91センチです。かつてハワイの殆どの島に繁殖していたのですが、今はマウナロアの他にマウイ島のハレアカラ火山(やはり3000m付近)、カウアイ島のアラカイ湿原(1200m付近)、ラナイ島のラナイハレ(1000m付近)で記録されています。標高の高いところに繁殖する鳥です。

あともう一息!レッドヒルに着くところ。レッドヒルは「赤丘」という意味。鉄分の多い火山灰の丘です。

あともう一息!レッドヒルに着くところ。レッドヒルは「赤い丘」という意味。鉄分の多い火山灰の丘です。

繁殖期は3月から10月にかけてです。繁殖していない時には島を訪れません。マウナロアではこの鳥が溶岩の割れ目の深いところに巣を作ります。(他の島では巣穴を作ったりします。)雛が生まれたら親達は何千キロでも遠くまで飛んで、イカや小魚を食べ、巣に戻ってそれを吐いて、雛に食べさせます。この鳥は全滅危機種です。原因は外敵です。親が巣にいない間、野良猫やネズミ、またはマングースが雛を食べてしまいます。マウイ島とハワイ島にある国立公園がこの鳥の繁殖地でこれらの外敵を駆除する努力をしています。

1915年にバファローソルジャーが建てた山小屋、レッドヒルレストハウスです。歴史を感じる建物です。

1915年にバファローソルジャーが建てた山小屋、レッドヒルレストハウスです。歴史を感じる建物です。

鳥が繁殖する3000m当たりにレッドヒルレストハウスがあります。日本でいう避難小屋のようなものです。ハワイの2番目に標高の高いところにある山小屋です。レッドヒルレストハウスに2泊して鳥を探すという計画でした。友達のベリンダと彼女の友達、オアフ島に住んでいるライアンが一緒でした。ライアンはハワイ島出身ですが、マウナロアに登るのは初めてです。一方、オアフ出身の僕とベリンダはマウナロアをわりとよく歩いています。

山小屋の屋根から雨水が貯水タンクに流れます。浄水が必要です。小屋に着いたらまずは水汲み。

山小屋の屋根から雨水が貯水タンクに流れます。浄水が必要です。小屋に着いたらまずは水汲み。

マウナロアに登る前日ハワイ島入りして、火山国立公園でテントキャンプしました。テントより安い宿泊はないですね。テント場が登山口に近いので便利です。次の日に早起きしてマウナロアトレイルの登山口に行きます。登山口が標高2030mMauna Loa Strip Roadの行き止まりにあります。そこから12キロほどを歩いて、3000mの小屋に上ります。1000mほどの登りです。必要なもの、つまりシュラフ、食べ物、燃料などを背負っていなければなりませんのでリュックは重いです。空気が薄くてスピードはあまりでません。

マウナロアトレイルとレッドヒルレストハウスを作った陸軍黒人部隊のバファローソルジャーがホノルルのパレードで行進。(写真はワイキキの陸軍博物館で撮ったものです。)

マウナロアトレイルとレッドヒルレストハウスを作った陸軍黒人部隊のバファローソルジャーがホノルルのパレードで行進。(写真はワイキキの陸軍博物館で撮ったものです。)

面白いことにこの登山道も目的の山小屋もバファローソルジャーが作ったものです。バファローソルジャーというのは陸軍の黒人部隊の兵隊さんのことです。黒人部隊は戦闘部隊でもありますが、よくこのような土木作業も課せられました。火山学の開拓者であるトマス・ジャガー博士がマウナロアの噴火(マウナロアは活火山)を研究するために山頂にあるモクアヴェオヴェオ火口への登山道の建設を陸軍に依頼しました。黒人部隊である第25連隊が1913〜1918の間にハワイに駐屯し、彼らがやり遂げた仕事の一つがこの山小屋と山道です。1915年ごろに完成しました。

レッドヒルレストハウスから24キロほど離れているハレマウマウの噴火が見えていました。

レッドヒルレストハウスから24キロほど離れているハレマウマウの噴火が見えていました。

山登りは青空の下でした。ひたすら登り、だんだんと植物が少なくなり、森林限界を越えたところ山小屋が見えてきました。小屋に男4人のパーティーが泊まっていました。彼らは前の日に同じ道に登ってきたそうです。今日はマウナロアの頂上近くの小屋へ登る予定でしたが、山をちょっと甘く見ていて断念。マウナロアの頂上を目指すのを止めて、ここもう一泊して次の日に来た道で下山することにしたそうです。

6月にちょうどいた時、ハレマウマウ火口に溶岩が溜まり、夜になるとその灼熱がきれいに光っていました。観光客も地元人もたくさんその様子を見に来ていました。(ジャガー博物館にて)

6月にちょうどいた時、ハレマウマウ火口に溶岩が溜まり、夜になるとその灼熱がきれいに光っていました。観光客も地元人もたくさんその様子を見に来ていました。(ジャガー博物館にて)

小屋で水を浄水したり、一服していたら、もう夜になってしまいました。今日はウアウを探すのが暗い中になります。この鳥が見られるだろうと思われるのは朝と夕方だけです。朝早く巣穴から出て、遠い海にいってエサを取ります。そして、(場合によって2週間後にでも)日が暮れてから巣に戻ります。巣が深い溶岩の割れ目にあるので巣の様子を見ることができません。実は鳥を見ること自体が非常に難しいそうです。ウアウの巣は、この辺りで何年も確認されていません。

マウナロアで繁殖するハワイシロハラミズナギドリ(ウアウ)はこのような溶岩の穴に巣を作っています。深くまで入っていて、外から除いても中々見えません。

マウナロアで繁殖するハワイシロハラミズナギドリ(ウアウ)はこのような溶岩の穴に巣を作っています。深くまで入っていて、外から除いても中々見えません。

火山国立公園のビジターセンターで山小屋の予約を入れた時にレンジャーに「ウアウを撮影したいのですが、どんなもんでしょうか」と尋ねたら、この鳥の調査や保護を担当するレンジャーを紹介してくれました。彼いわくレッドヒル小屋当たりは確かに探すのはよい場所です。しかし、最近その近くに調査班が2週間ほどキャンプして、ウアウとウアウの巣を探しましたが、結局夜にウアウの鳴声は聞こえたそうですが、巣は一つも見つけることができなかったそうです。まさに幻の鳥です。

レッドヒルの頂上です。(3055m)ここからハワイ島の大部分が見えます。

レッドヒルの頂上です。(3055m)ここからハワイ島の大部分が見えます。

2週間も調査して、鳥を見ることもできなかったとは…

夕飯を済ませてから準備をしました。外は真っ暗です。夏でもここは3000メートルですので防寒具を着て、この日に登った道を1キロほど下ります。星明かりで何か羽ばたく翼でもちょっと見られるか?オアフ島にこの鳥の仲間であるオナガミズナギドリがいて、夜に観察することがあります。飛び方が似ていて、どんなふうに飛んでくるかはだいたい把握しているつもりです。が、何も見ることができません。数時間探してもゼロです。体が冷えたし、あきらめて小屋に戻ろうと思ったその時でした。キャンキャンキャンキャン!人をバカにしたような狂った笑い方、子犬が鳴いているような不思議な鳴声が聞こえてきました。ウアウです!

ウアウは巣に戻る時、または巣にいる時は「ウーアーウ」と鳴きます。暗い時に巣に戻るので何かの合図でしょうか。かなり不気味な鳴き方です。子犬がキャンキャンキャンキャンという子犬のような鳴声もします。

ライアンが帽子を忘れたので包帯、ダンボール、ガムテープで何とか帽子を作りました。高山ではあっという間に日焼けしてしまいます。

ライアンが帽子を忘れたので包帯、ダンボール、ガムテープで何とか帽子を作りました。高山ではあっという間に日焼けしてしまいます。

鳴声を聞きながら暗い中で巣を探しましたが、結局巣の近くを歩くと鳴き止んでしまいます。

次の日は明るい状態で同じエリアを探しました。そして、日が沈む前にいるだろうと思われる場所に行き、親鳥が巣に戻るのを待ちました。しかし何も姿をあらわしません。小屋に戻って夕飯を食べ、また出かけて探すと結局はキャンキャンキャンキャンキャンという鳴き声は聞こえます。幻の鳥です。

レッドヒルレストハウスで2泊して鳥を探しましたが、結局、鳴声しか聞くことができませんでした。しかしハワイの美しい高山と友達とのキャンプ時間を楽しむことができました。

レッドヒルレストハウスで2泊して鳥を探しましたが、結局、鳴声しか聞くことができませんでした。しかしハワイの美しい高山と友達とのキャンプ時間を楽しむことができました。

おまけの話です。同じ道で下山、その道のわきに新しいシルバーソードの栽培囲みを見にいきました。マウナロアにはマウナロアの固有種の高山植物であるシルバーソード(銀剣草)「カウシルバーソード」がありますが、ヤギと羊に食べられてしまい全滅の危険にたたされています。火山国立公園やハワイ州森林局が協力して外来の有害動物が入れない囲みを作ってその中で温室で育てたカウシルバーソードの苗を植えています。囲みがなければやぎがその水分たっぷりの肉厚の葉をぱくっと食べてしまいます。

 マウナロアトレイルのわきにあるシルバーソード囲みに入るためにハシゴに登らなければなりません。

マウナロアトレイルのわきにあるシルバーソード囲みに入るためにハシゴに登らなければなりません。

カウシルバーソードはマウナケアとハレアカラのシルバーソードと違って小さく葉が細いです。金属のIDタッグは500円玉ぐらいの大きさです。

カウシルバーソードはマウナケアとハレアカラのシルバーソードと違って小さく葉が細いです。金属のIDタグは500円玉ぐらいの大きさです。

カウシルーバーソードのクローズアップです。

カウシルーバーソードのクローズアップです。

マカプウでクジラ

日曜日, 12月 27th, 2009

風のない日は潮吹きがまっすぐに立って、遠くからでも確認しやすいです。

風のない日は潮吹きがまっすぐに立って、遠くからでも確認しやすいです。

昨日マカプウ岬ネイチャーウォークをご案内しました。冬休みで地元の人たちも多くいて、中には双眼鏡を首にぶら下げている人もいました。彼らが見たいのはクジラです。

ザトウクジラの背びれです。

ザトウクジラの背びれです。

クジラウォッチングに最高の天気でした。風はないが、それほど暑くもなく。そして、周りの海も薙いでいました。風がないので、波が立たず潮吹きが確認しやすいです。

これも背びれです。息をしてから背中が一瞬見えてきて、それから背中を丸めてまた潜る、これがよく見る習性です。

これも背びれです。息をしてから背中が一瞬見えてきて、それから背中を丸めてまた潜る、これがよく見る習性です。

クジラ達はみんなの期待にしっかり応えてくれました。ちょっと遠かったのですが、あちらこちらにクジラがいました。ブリーチング(ジャンプ)もしていました。これらの写真は全部ツアー中に400mmのレンズで撮ったものです。クジラの季節はまだまだピークに達していないのですが、本格的に始まったような気がします。

今回のツアーメンバーがマイボトルを持ってきてくれました。マイボトル、自分の水筒を持って来た方にはAAEのワッペンをプレゼントしております。(詳細はAAEのトップページへどうぞ。)

今回のツアーメンバーがマイボトルを持ってきてくれました。マイボトル、自分の水筒を持って来た方にはAAEのワッペンをプレゼントしております。(詳細はAAEのトップページへどうぞ。)

ノースショアクリスマス

土曜日, 12月 26th, 2009

8mほどの波でしょうか?ワイメアベイのビッグウェーブサーファー。

8mほどの波でしょうか?ワイメアベイのビッグウェーブサーファー。

AAEの定休日はサンクスギビングとクリスマスの日だけです。(電話の受付は無休)昨日は、せっかくのクリスマスの休み。今年で2番目の高波がちょうどピークに達するという予報もあり、ノースショアへドライブして高波とそれに挑戦する勇気あるサーファーたちを見に行ってきました。

亀がよく甲羅干しをしにくるラニアケアビーチ沿いの道路。高波で道路が砂だらけ。こういう時は道が通行止めになることもありますので要注意です。

亀がよく甲羅干しをしにくるラニアケアビーチ沿いの道路。高波で道路が砂だらけ。こういう時は道が通行止めになることもありますので要注意です。

この高波は冬だけのものです。しかし冬でも毎日高波が来るわけでもありません。その高波を作るのはうねりです。波がハワイにくるわけではなく、うねりがきます。そのうねりがノースショアのワイメアベイのような浅いところに入ると高波となります。

やっとワイメアベイに着きました!ハレイヴァの街からここまで1時間のノロノロ運転でした。何とか駐車して高台からサーファー達を見ました。

やっとワイメアベイに着きました!ハレイヴァの街からここまで1時間のノロノロ運転でした。何とか駐車して高台からサーファー達を見ました。

ノースショアにくるうねりを作るのは北太平洋に起る冬の嵐です。北海道とアラスカの間に冬の嵐が起きると突風が吹き、その風がうねりを作ります。そのうねりが何千キロも太平洋に広がります。北から来るうねりは当然ハワイ諸島のそれぞれの島の北海岸に当たります。そして、それが高波となります。

観光客もいましたが、地元人も多くきていました。サーファー達を見ては「ワー!」の繰り返し。(ワイメアベーにて)

観光客もいましたが、地元人も多くきていました。サーファー達を見ては「ワー!」の繰り返し。(ワイメアベーにて)

うねりがくる時、風が吹かない方が波がきれいな形に崩れて、サーフィンができます。崩れる波に風が吹いてくると波がきれいに崩れないので波乗りができなくなります。サーフィンするところでは風がない方がいいわけです。

ビッグウェーブ用のサーフボードは長くて鋭いです。この日、ボード10枚ほどが半分に折れたそうです。

ビッグウェーブ用のサーフボードは長くて鋭いです。この日、ボード10枚ほどが半分に折れたそうです。

曇り空でしたが、大きなうねりがくるし、風もそれほど吹かないというクリスマスの日でした。ビッグウェーブサーファー達にとって最高のクリスマスプレゼントでした。

高波はサーファーにとって最高のクリスマスプレゼント。

高波はサーファーにとって最高のクリスマスプレゼント。

この日ライフガードは25人を救助、20人のアシスト(救助を求めていない人をちょっと助けること)をしたそうです。これはライフガードがジェットスキーでサーファーの様子を見にいっているところです。

この日ライフガードは25人を救助、20人のアシスト(救助を求めていない人をちょっと助けること)をしたそうです。これはライフガードがジェットスキーでサーファーの様子を見にいっているところです。

波が殆ど垂直に崩れ、スティープドロップです。ジェットコースターよりすごいでしょう。

波が殆ど垂直に崩れ、スティープドロップです。ジェットコースターよりすごいでしょう。